コウヤマノート

『熊本空港アクセス鉄道』整備問題に対する私の視点

2019年10月4日

【はじめに】 

 蒲島県政が進めている『熊本空港アクセス鉄道』の整備をめぐり、私が計画の見直しを訴えたことに対し、蒲島知事が10月2日の定例会見で、「空港民営化で利用者増が見込まれる中、緊急性が高く、リセットは合理的ではない。」と反論されたコメントが、10月3日の『熊本日日新聞』に掲載されていました。 

 私、幸山政史は蒲島県政における「空港アクセス改善対策としての鉄道延伸案決定」に、今、危機感を感じています。 

 果たして、この大型事業は熊本の未来を明るくしてくれるものなのでしょうか?全県民の幸福につながるものなのでしょうか? 

 蒲島県政が熊本地震の“創造的復興”の柱と位置付けるこの『熊本空港アクセス鉄道』整備に対して、私は計画の見直しを訴えます。 

 県民の皆さん、“復興”と銘打って突き進む380億円を投じるとされるこの大型事業の実態について、一緒に考えてみませんか。 

 

【蒲島県政におけるこれまでの検討経緯】 

 蒲島県政は「空港アクセス改善対策」として、2018年度(平成30年度)に「鉄道延伸」「モノレール新設」「市電延伸」の3つの交通システムについて、「定時性」「速達性」「大量輸送性」「事業費」等の比較検討を実施し、速達性や大量輸送性に優れ、事業費を相対的に低く抑えることができ、採算性が見込めるとして「鉄道延伸」を選択する結論を出しました。JR九州と合意をして鉄道建設を進めようとしています。 

https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_27848.html

 私、幸山政史は「鉄道延伸」案決定には、以下4つの視点で課題があると考えています。 

 

【幸山政史の視点1・検討案の偏り】 

 JR九州は、九州北部豪雨で被災したJR日田彦山線の不通区間について、復旧を鉄道ではなく『BRT(バス高速輸送システム)』とした場合、初期の事業費は鉄道と比較し5分の1程度、その後の運用費は3分の1程度になると地元に説明しています。全国各地でこのような「新しい交通システム」の導入が進んでいるのに、大変重要な方針決定でありながら「鉄道延伸」「モノレール新設」「市電延伸」3つの案しか検討されていません。『BRT』は検討すらされていないのは驚きです。 

 

【幸山政史の視点2・概算事業費の根拠】 

 現在、熊本市が検討している「市電延伸」健軍町電停=熊本市民病院間(1.8km)の事業費は約130億とされています。蒲島県政が事業費等の比較検討をしたとする際の「市電延伸」健軍町電停=熊本空港間(約12.3km)の概算事業費は、熊本市民病院までと比べ6倍以上の距離があるのに210~230億円と見積もられており、重要な方針決定の前提となる数字の根拠自体が疑わしいと言えます。(単純に計算しても12.3km÷1.8km×130億円=約888億円なのになぜ210~230億円???) 「市電延伸」の概算事業費を低く見積もることで、「鉄道延伸」の概算事業費見積もりも低く見せようとでもしたのでしょうか? 

 

【幸山政史の視点3・県民不在の決定】 

 蒲島県政はこの計画について、熊本市をはじめ関係市町村との協議をやっておらず、一番重要な“利用者”である県民不在の中で決定し、既に走り出しています。JR新水前寺駅周辺と熊本空港間は、車や空港リムジンバスで所要時間約30分。それに対して『熊本空港アクセス鉄道』は、新水前寺駅=三里木駅を経由し空港までで所要時間30分強と見込まれます。そもそも、これが熊本市中心部と熊本空港間の第二空港線渋滞対策となるかも疑問です。「市電延伸」案の検討前提となる概算事業費算定に関しても、熊本市と協議をしていれば、あんないい加減な数字が出るわけがありません。 

 

【幸山政史の視点4・ここまで急ぐ必要があるのか】 

 蒲島県政は、熊本空港の民営化によって今後空港利用者の増加が見込まれるので、緊急性が高い、とにかく早く『熊本空港アクセス鉄道』を完成させたいとしていますが、民営化後の熊本空港運営会社が発表している旅客数は、2017年度(平成29年度)実績334万人に対し、2022年度は目標392万人、8年後の2027年度に目標486万人としており、年間で100万人以上の利用者増目標を掲げているのはまだまだ先。事業にはスピード感も大切ですが、これだけの大型事業を“緊急性、緊急性”と言って十分な検討をせず突き進むことは、熊本の未来に責任を持てるのでしょうか。 

http://www.mlit.go.jp/common/001285283.pdf

 

【まとめ】 

 日本は急速な高齢化の時代に入っています。高齢化とともに運転免許の返納者が今後増えることが予想され、公共交通の将来のあり方は県民一人ひとりの生活に直結します。 

 一方、「第四次産業革命」と言われる近年、「AI」や「IoT」、「ロボット」、「自動運転車」などが急速に進化しています。 

 特に交通の世界では『MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)』と呼ばれる次世代移動交通システムの分野が進展しており、これらの実現には政策統合・政策連携が不可欠です。 

http://www.mlit.go.jp/pri/kikanshi/pdf/2018/69_1.pdf

  「空港アクセス改善対策」の検討を三里木駅=熊本空港間のピンポイントで考えるのでなく、さらなる高齢化が進んでも安心・安全・便利に暮らせる熊本県の「将来の公共交通網」として見据え、県民の皆さんと広く、そしてオープンに検討し、限られた財源をより有効に使っていくことが大切なのではないでしょうか。 

 これだけの大型事業です。20年後を見据え『MaaS』や『MaaS』と相性の良い『BRT』等、次世代テクノロジーも意識したバランスある検討が必要です。