メールマガジン「幸山せいしマガジン」

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幸山政史のリーダー論

2015年03月13日

皆さんこんにちは。卒業、転勤など別れの季節ですね。でも4月には新しい出会いが待っています。お花見の計画はこれからですか?

『幸山せいしマガジン vol.118』をお届け致します。

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 [1]コウヤマノート(幸山政史がメルマガ用に特別に書き下ろしています)
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「桜の開花もいよいよカウントダウンか」と感じ始めた矢先の寒波、そしてなごり雪。その日は早朝からの講演のために上益城郡山都町の国民宿舎に泊まっていました。ここは日頃から熊本市内より3~4度低いこともあり、思いがけず辺り一面銀世界に包まれました。

そして、今年もまた3月11日を迎えました。東日本大震災から4年の歳月が流れたことになります。今でも当時の記憶が甦りますが、徐々に薄れつつあることは否定できません。それは、大災害を乗り越えて前に進むためには、ある意味では仕方がないことかもしれません。しかしながら、決して忘却することなく、私たちの記憶に留めておく必要があります。だからこそ、私は少なくとも年に一度は被災地を訪れるようにしていました。教訓とすべきことは、必要な支援は何なのか等を、常に考えてきました。この時期になると、報道を通して復興の進捗状況や被災者の生活の様子等を知ることになりますが、改めて胸に確りと刻みたいと思いました。熊本市役所から東松島市へ派遣されている職員たちも元気に頑張っていることでしょう。

話は変わりますが、最近では講演を引き受けることが増えてきました。時には熊本市外に出かけていくこともあります。そんな中、母校である濟々黌の全校生徒と熊本大学大学院の医学・薬学系の学生を対象として、リーダーについて話をする機会を得ました。大学院では留学生も含まれており、英語が苦手な私は同時通訳の力を借りる必要があり、珍しく講演の原稿を作ることになりました。押し付けがましいかもしれませんが、せっかくですのでその内容をここで紹介してみます。長文になりますが、興味にある方はどうぞご覧ください。


(プロローグ)
このプログラムは健康生命科学の次世代リーダーを育成することが目的と聞いた。私は2002年から12年間、熊本市長という政治・行政のリーダーとしての役割を担ってきた。今日の講演では、その経験を踏まえて、リーダーの役割や必要な資質等について、皆さんとともに考える機会となり、今後皆さんがリーダーとして成長していくうえでの糧となることを期待しながら話をしたい。

(首長とは決断することが仕事)
皆さんはリーダーに求められる資質として何が重要であると考えますか?
私はリーダーに求められる資質の中で最も大事なものは「決断力」であると考える。
熊本市長の仕事とは、3000億円近い予算を編成・執行し、時代の変化に応じた条例を策定し、6000名を超える職員を指揮・統括すること等であった。

その過程では、常に判断が求められ、この12年間は毎日がその連続であった。
例えば、決断とは言えないのかもしれないが、通常業務に関わることで、かなりの割合を副市長以下に委任しているとはいえ、それでも十数本/日の決裁が必要となる。
また日本の場合は、右肩上がりの時代に終わりを告げ、予算の大幅な伸びが期待できない中で、高齢化の進展に伴う社会保障費や医療費の伸びは増加の一途を辿っており、どの地方自治体でも厳しい行財政改革が求められている。その際には、利害関係者や組織の中でも強い反発を招きかねないような判断を下さなければならない場合もある。

また、一つ具体的な例を挙げれば、熊本市西区にある慈恵病院に設置されたこうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)のように、現行の法律では想定されていないような事案を、地方自治体独自で判断しなければならない場合がある。
熊本市長等の首長は「決断することが仕事である」と言っても過言ではない。


(決断力とともに兼ね備えなければならないもの)
ただ、決めるだけなら誰だって出来るかもしれない。ここで注意しなければならない点がある。それは決断する前の準備と決断した後の対応に関すること。


(聞く力)
決断する前の準備で重要なこととして、私は「聞く力」と表現しているが、判断するための材料をできる限り集めておく必要がある。
熊本市長は74万市民の代表であり、6000名を超える職員のいる組織のトップである。市民や職員が何を望み、何を期待しているのか、また、何が課題と考えているのか、常に耳を澄ませておかなければならない。
もちろん全ての対象者から直接聞くことは不可能だが、それでも、ミーティングやワークショップ等、誰でも気軽に発言できる機会を可能な限り設けておく必要がある。また、アンケート調査や世論調査等を参考にすることも大事。最近ではSNSの活用も必須になってきている。

「聞く力」を持つということは、誤った判断、市民の期待に反する判断を防ぐために有効である(サイレントマジョリティーの把握がなかなか難しい)。
ここであえて申し上げておかなければならないことは、賛同者が多そうな判断をすることを目的とした「聞く力」ではないということ。次世代への責任や公平公正を貫き通そうとすると、反対者が多くなることが予想されたとしても、リーダーの責任として決断しなければならない局面は必ずある。


(最後まで責任を果たす)
特に、そのような場合に必要になってくるのは、決断した後の対応について。
決断した後の対応で重要なことは、自らが先頭に立って結果責任を果たすこと。
先ほども触れたように右肩上がりの時代は終わった。何か新しいことに取り組むためには既存の事業をスクラップしなければならない。また市民に対しては、増税や手数料等の徴収により、新たな負担を求めることも場合によっては必要である。また価値観も多様化している。
私の判断したことに対して100%賛成ということはまずあり得ない。逆に100%反対ということもない。反対者に対する説明や説得は、決断した時点で終わりではなく、その後も説明責任を果たしていかなければならない。

そして、先ほども申し上げたように、場合によっては反対の声が強いケースでも判断しなければならないこともある。いずれにおいても、決断したことにより生じる反応に対しては、その全てをリーダーが最終的な責任を負わなければならない。

私は冒頭、決断力が最も大事な資質と申し上げたが、それには条件もあり、聞く力と責任を担う覚悟とを兼ね備えておかなければならない。


(聞く、決める、責任をとる)
既述の通り、首長の仕事は、簡略化すれば「聞く」「決める」「責任をとる」この3要素に集約できる。そして毎日がこの繰り返しである。
その3要素をバランスをとりながら循環させる必要がある。
このバランスが崩れたとする。


(聞く力が弱い)
例えば聞く力が弱ければ、誤った判断、課題解消にはつながらない判断、或いは市民からは独断ということで批判を受けることになるかもしれない。また組織として不本意な判断であれば、執行の際に上手くいかないこともある。


(決断力に乏しい)
また決断力が弱ければ、全ての難しい判断が先送りされることとなり、問題は解決されることなく、更に肥大化してしまう。


(責任感に乏しい)
そして、リーダーが責任を回避するような姿勢が垣間見えれば、説明責任を求める反対者の不満は決断した後も広がり、場合によっては、それまでは賛成の意思を示していた人たちの中からも、徐々に不満の声が上がり始めてしまう。

また組織内部でも、リーダーが責任をとらなければ、他者(サブリーダー以下)が責任を負わなければならなくなり、信頼関係が大きく揺らぐことになる。そのことを日本では「梯子を外す」とも言われる。
だからこそ、「決断力」とともに「聞く力」、そして「責任をとる姿勢と行動」、この3点が揃わなければ、或いはバランスしなければ、よきリーダーにはなり得ないのではないかと思う。


(日本のリーダーは調整型が多い?)
日本のリーダーは調整型が多く、決断することが苦手である、リーダーシップが欠如している、といった指摘を受けてきた。
ただ最近では、日本でも真のリーダーを求める声が強まってきており、書店でもリーダー論やマネジメントに関するコーナーが設けられている。
そしてHIGOプログラムのようなコースもある。
至るところでよきリーダーが求められている。


(日本のリーダーの最近の傾向は)
そういった時代の要請に呼応するかのように、最近では、日本でも強いリーダーシップを発揮する指導者が誕生しつつあると感じている。そのこと事態は、時代が求めていることでもあり、望ましい傾向と捉えたいが、一方においては不安も感じている。
それは「よきリーダー=強いリーダー=決断するリーダー」と解釈され、「決断力のある強きリーダー」であること自体が目的化してしまい、聞く力を発揮することなく、決断が乱暴になってきているのではないか、或いは、その後の責任はお構いなしで、決断することに自己陶酔してしまっているのではないか、そのように感じることがある。


(謙虚さも大事)
そこで、リーダーに求められる資質でもうひとつ大事なものとして、私は謙虚さを挙げたい。
リーダーであることを畏れるということ。
リーダーとしての立場に畏敬の念、畏怖の念を持つということでもある。


(リーダーに求められるもののまとめ)
もちろんリーダーに求められるものは他にもたくさんある。知見はもちろんのこと、ひらめきや発想力、ビジョンを作り上げる構想力、人に影響を与えうるようなカリスマ性等も挙げられる。
ただ、私の経験や最近の傾向から、リーダーに求められるものとは、と問われれば、ただいま申し上げたような結論に至る。

リーダーに求められるものとして、もう一度まとめてみると、最も大事なものとして決断力、そしてその前後に、聞く力と責任を果たす姿勢と行動とを兼ね備えておく、更には自らの立場に畏れる気持ちを持つ、ということである。


(リーダーは一日にしてならず)
リーダーの資質は誰でももっており、誰もがリーダーになりえる。
そして、よきリーダーになるとは、一朝一夕になれるものではなく、リーダーとしての日々の判断を積み重ねていくなかで、多くの人から信頼を得て、よりよきリーダーとして成長していくものである。


(リーダーは立場ではない)
また、私が述べてきたリーダーとは、市長や学長、社長といった組織のトップだけを指すものではない。
社会が複雑・多様化し、解決することが困難と思えるような課題が増えていく中で、粘り強く、時にはリーダーシップを発揮しながら、それらの課題に向き合って、解決の道筋を模索していくことが必要である。
そして社会の構成員である一人ひとりが、よりよきリーダーに成長していく、そのことが今の社会には求められていると思う。




以上を30分ほどで話しました。リーダー論と呼ぶほどの深みはありませんが、12年間の市長職を終えての実感を率直に表現してみました。

この原稿を作りながら、姜尚中さんが著した新書「リーダーは半歩前を歩け」を思い出していました。リーダーについて語ることで、自らの足りない部分も見えてきます。このような準備段階も含めた講演の機会など、とても有意義で充実した時間を過ごしています。充電期間や階段の踊り場等、他人は色々と表現してくれますが、いずれにしてもこの時を大切に使いたいと思います。



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   [2]コウヤマdata   「誰もがリーダーとなり得る」
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最近は講演依頼が多い幸山さんですが、一方的に話すだけでなく、幸山さんから聞き手に質問をすることが時々あります。

例えば、Q今、夢や目標を持っている人? A声優になりたい。Aサッカー選手になって外国に行きたい

質問するからには幸山さんも自分のことを話します。幸山さんの夢は、「プロ野球選手」次に「甲子園出場」。大学生では「銀行員になりたい」。夢が叶い東京で銀行員をしながら「政治家になりたい」。そして「いつか首長をやってみたい」だったそうです。
前半の夢は叶わなかったのですが、二十歳以降の夢は実現できました。さて、次の夢はなんでしょうか?実現可能かどうかは別にして、今聞いてみたいですね。どなたか、講演を聞いた方は質問してみて下さい。

このような質問もしました。Q尊敬する人は誰ですか?Aガンジー (これは熊大の留学生のアンサーでした)

では幸山さんは、自分では何と答えたのでしょうか?
答えは「尊敬する人はいません。」でした。補足すると、幸山さんにとって歴史上の人物は実際話した事が無いので、わからないそうです。それよりも会って話してみて尊敬の念が出てくるそうです。それはよく知っている経営者であったり、地域の方であったりと。実に幸山さんらしいですね。

最後にこのような質問も投げかけました。Qこの中で、自分をリーダーだと思う人?
A・・・・・。ほとんど誰も名乗り出ません。そうですよね。

しかし幸山さんは、慌てること無く講演を続けます。自分の市長12年間の経験から「リーダーに必要なものとは」そして、聞き手にこう語りかけます。「社長や首長だけがリーダーではない。ここにいる誰もがリーダーとなり得るのです」と。

どうですか?機会があれば一度ぜひ聞いてみて下さい。


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編集後記 幸山政史さんの著書「コウヤマノート」は好評販売中です。事務所の1000部の在庫は残り300部となりました。ぜひ一読下さい。(大橋)
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