今、新たな挑戦へ―幸山市政3期を総括

平成14年、熊本市長初当選を果たし、走り続けてきた12年。12月2日に任期満了を迎え、通い慣れた庁舎を後に新たなスタートを切りました。これまでの政治家としてのあゆみを振り返り、3期にわたる幸山市政を総括するインタビュー特集。幸山政史のストレートな思いをご紹介します。

市長から一人の政治家へ 人々と語らい、学び、熟慮する時間を

―紆余曲折の12年でしたね。

市長室に別れを告げ、階下に降りると職員や市民の皆さんの拍手が庁舎に響きわたった

幸山:とても充実した12年だったと思いますよ。6月2日の不出馬表明から残された半年で、これまでの12年を評価されるという覚悟でこれまで一日一日を過ごしてきました。

 その後、市職員の採用試験に全盲の方が受験できないといった問題が発覚しました。他の政令指定都市ではすでに改善されていたにも関わらず、熊本市だけが対応できていなかったことが明るみになったのです。それは政令市になる、ならないに関わらず対応すべき問題だったのですが、障がいに対する認識が全く欠如していると指摘されても、何も反論できないような状態が放置されてしまっていました。その責任は、とても重いと考えています。障がい者福祉も防災と同様に、とても重要なことと取り組んできたつもりでしたが、こんなに大きな課題が残っていたことを知り、大いに反省しました。

 そこで、全盲の方が仮に採用試験に合格なさった場合、どこの部署で、どのように仕事をしていただくのか、具体的な対応が準備されている市町村は少ないのではないかとも考え、熊本市ではそのことも含めて障がいのある方が実際に働きやすい環境を整えようと、対応を進めました。単に試験を受けられるようにするだけではなく、実際の雇用を見据えた十分な準備をするためには、一定の期間も必要でした。

―ただ試験を受けられるようにするだけが課題ではないということですね。

幸山:この問題でも職員と喧々諤々の議論をしたんですよ。ある職員から「試験を目指す多くの人々がいる中で、突然、受験要綱を変えてしまうのは、公平公正に欠けるのではないか」という発言があり、それに対して私は怒りました。

 「この問題で公平公正という言葉は、決して使ってはいけないんです。熊本市が公平公正な対応ができていなかったにも関わらず、その対応を正当化するために、公平公正という言葉を使うことは決して許されません。それは市に対する信頼の根本をも失う可能性すらあります」。職員とはいつも真剣で、議論ばかりしていました。

 この問題では、採用関係の部署だけでなく、障がい者福祉に携わる部署等、さらに庁内で広く議論してもらうよう指示をしました。何か一つ問題が発生したときには、関係する各部署へ議論を広げ、ひいては市役所全体の意識を向上するような流れを築くことが重要です。ある意味で、市政への批判や問題が起きたときこそ、職員の意識を変えるチャンスでもあります。職員の不祥事については数多く指摘されましたが、決して隠すことなく、問題点を洗い出し、しっかりと再発防止策を含めて、改善していこうと呼び掛けてきました。

 また、この間には広島で土石流災害なども起き、改めて気を引き締めなければならないと肝に銘じた次第です。

―6,000人の職員の皆さんは、どのような市長像を思い描いていたと思いますか?

幸山:職員もそうですが、市民にとっても、信頼できる人物であってほしいと思うのではないでしょうか。職員とは、難しい行政改革や市民から非難を受けるような取り組みであっても、一緒にやり抜いてきたわけです。最前線で説明するのは、職員たちなのですが、そこで彼らは批判を受けることになります。その判断を下すのは首長の役割なのですが、批判を受けたからといって“はしごを外す”、横槍が入ったからと言って取り止める、そんなことがあっては、いっぺんに職員との信頼関係が崩れてしまいます。そこは常に自分でも大事にしてきました。「自分は職員にとって信頼の置ける存在なのか」「市民にとっても信頼される人物なのか」と、ずっと自問自答してきましたね。

 オフサイトミーティングなどで職員たちと直接話す機会も多く設けて、コミュニケーションを取るようにしていました。

「皆さん本当にお世話になりました。ありがとうございました」と自分自身の言葉で感謝を伝え、庁舎を後にした

―支援者の皆さんや市民は、“次”に注目しています。これから中・長期的にはどのようなことをやりたいと思っておられますか?

幸山:在職中に聞かれた時には「12月3日以降に考えます」と答えてきました。それは熊本市長という重責を果たしている最中に次の話をすると、熊本市長が次のステップでしかないと受け取られることを危惧したんです。

 市長としての12年間だけでなく、県議会議員としての7年半を含めると約20年にわたる政治家としての経験を積ませていただきました。不出馬表明でも「これからも政治家であり続けたい」と答えたように、今でも政治に対する思いがあるのは事実です。また、何かに挑戦したいと考えていますが、まだその何かを決めているわけではありません。これまでの経験を踏まえて、自分が何をやらなければならないのか、あるいは何が出来るのか、何をやりたいのか、そのことを少し時間を掛けて考えてみることにします。これまで20年間走り続けてきましたので、ここで少し考える時間を持ちたいですね。

 これまでは市長という肩書を持ち、多くの人と語り合い、声を聞いてきましたが、もしかしたらそれは本当の声ではなかったのかもしれない。肩書がなにもない状態で、いろんなところへ足を運び、話を聞き、政治家として自分に足りないところを見出だし、勉強する時間を持ちたいと思っています。

―“次”の決断を支援者の皆さんは期待して待っています。どうもありがとうございました。

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