今、新たな挑戦へ―幸山市政3期を総括

平成14年、熊本市長初当選を果たし、走り続けてきた12年。12月2日に任期満了を迎え、通い慣れた庁舎を後に新たなスタートを切りました。これまでの政治家としてのあゆみを振り返り、3期にわたる幸山市政を総括するインタビュー特集。幸山政史のストレートな思いをご紹介します。

「熊本市を変えていこう!」という思いを一つに職員たちと喧々諤々の市政改革

―県議会議員から首長へという転機の中で、国政への転換は考えなかったんですか?

幸山:それよりも首長になりたいという思いの方が強かったですね。国会議員としての何百分の一の存在よりも、自身の責任で決定権を持つ首長になれば、ダイナミックな仕事ができるのではないかと、そのことに魅力を感じましたね。もちろん国会議員であればフィールドは国であり、それを魅力に感じる人もいらっしゃいますが、私はフィールドの広さ、狭さよりも政治家としてダイレクトに判断を下せることに魅力を感じました。

―首長になったら大変だという負のイメージはありませんでしたか?

幸山:それはほとんど考えませんでしたね。大変だとは思いましたが、自分の中では「やってみたい」という思いと憧れが膨らんでいきました。この12年間、「やらなければよかった」と後悔したことは一度もありません。

―大方の予想に反して当選し、憧れの首長になって、実際に分かったこと、戸惑ったことなど、いかがですか?

2010年11月、3期目を目指し、最後の街頭演説

幸山:選挙中には「市政を変える」「既得権益からの脱却」「しがらみを断ち切る」など、敢えてインパクトのある強い言葉を使いました。それまで県議会議員を7年半務めていましたが、私のことを知る人はそれほど多くありませんでした。それでも約13万票を投じていただけたのは、市民の皆さまにとって、未知のものへの期待があったのではないかと思います。

 不出馬表明のときもそうお伝えしましたが、「選挙の時に約束したことを守るんだ」という気持ちで12年間ずっと仕事をしてきました。もちろん市長になってからは、いろんな軋轢(あつれき)もありましたし、トラブルもありました。それでも「約束したことをやり通すんだ」という確固とした意思が変わることはありませんでした。

 ただ実際に就任してみると、外から見えていたものと違っている部分も多々あり、戸惑いはありましたよ。

 最初の職員に向けた訓示で「この中で、私が当選すると思っていた人は、誰もいなかったでしょう?」と言いましたが、実は「今の市政には問題あり」と思っていた職員もたくさんいました。

 彼らは、「これまでにない若い市長が、もしかしたら変えてくれるのではないか」「自分たちも一緒になって変えていこう」と期待してくれた。だからこそそんな職員たちと一緒になって、いろんな取り組みを実現できました。もちろん慣れ合いではなく、喧々諤々(けんけんがくがく)議論しながら、「変えるべきは、自らで変えていこう」と、共に進むことができたことは、就任して気付いたうれしい驚きでしたね。

2009年10月、本丸御殿大広間の復元を終えた熊本城へ姜尚中氏を案内

 逆に「変える難しさ」にも直面しました。私は選挙で市民に対して「全ての事業をゼロベースで見直します」と宣言していましたが、当時一番大きな事業である熊本城本丸御殿大広間の復元については、着工するか、しないか、というギリギリのタイミングでした。

 職員たちは当然続けるものだと思い込んでいましたが、私は本丸御殿の復元も含めてゼロベースでの見直しを命じ、「何も継続することが決まっているわけではない」と職員たちに宣言しました。私が本気で投げ掛けるものですから、やがて職員たちも真剣に受けとめるようになったんです。

 結果的には私自身も、熊本城本丸御殿大広間の復元に代わるような、熊本市の魅力を引き出してくれるような事業を見出すことができませんでした。当時、一口城主などを通じて多額の寄附も集まっていましたし、どうせやるならただ復元するだけでなく、段差の解消や、案内板の充実、さらなる利活用の検討等を加えながら、最終的にはGOサインに至りました。

 この判断についても、一部の市民からは「変えるって言ったじゃないか」「お城の復元を止めてくれると思っていたのに」「なんで多額の無駄遣いをするのか」という声が上がりました。事業の中止を期待していた市民も少なくはありませんでした。当時、そうした人々の期待を私は裏切ったのではないかという思いが胸をよぎり、判断することの難しさを学びました。

 しかし今、振り返ると「あの時、復元事業を止めないでよかった」と思っています。政治家にとって、その時々の評価も必要でしょうが、10年後、20年後に受ける評価も重要なんだろうな、と思いますね。また政治家の評価とは、自己評価もあるのでしょうが、基本的には客観評価だと思います。

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